岩崎由純先生のペップトークに関する講演会を聞いて
2018年8月3日に「ファシリテーションフォーラム」というセミナーに参加しました。
岩崎由純先生:ペップトーカー
日本代表のトレーナーを歴任したことがある岩崎先生のプレゼンテーマはペップトークについてでした。
本来、「ペップトーク」とは、激励のトークという意味で、スピーチなどで使われるそうです。
元気・活気・勇気を与えられる短い声掛けは、本番開始前にコーチ・監督・指導者が選手・生徒・部下に対して前向きな背中の一押しであると定義しているそうです。
岩崎先生は留学先でこのような言葉を言われたそうです。
「スポーツ選手は技や力を身につけてくるが、
指導者は言葉の力を磨くのだ。
言葉に魂を与える人だけが指導者になれる」
教師としてなんだか、ぐっとくる言葉でした。教師自身も常に言葉や教える技術を身につけなければならない、さらに学生たちに向かって話す一言一言には重い責任を感じなければならないと思いました。そして、言葉に魂を与えられる指導者にならなければならないと思った次第です。
ちなみに、ペップトークの特徴は5つあります。
①短い(できれば一言ぐらいが理想)
②分かりやすい
③肯定的な言葉を使用する
④魂を揺さぶることができる
⑤人をその気にさせる
小ネタですが、体罰は1800年代にすでに一度現れ、それが第二回世界大戦の時に戦争をするために一度消え、昭和に復活したそうです。(岩崎先生による調査)
言葉を聞いて、理解し、それをイメージする→そのような言葉を選んで相手に伝えることが大事だそうです。
PEP TALK は以下の4つのものによって支持されると言われています。
①ポジティブストローク(好印象を与える接し方)
プラスの印相を与える
接し方のことで、言葉だけでなく、態度・姿勢・目線・非言語の要因も含まれる
ストロークとは、人が他者に与える印象、感じ、反応という意味です。
(エリック・バーン著『精神分析の口語訳としての交流分析』より)
②ポジティブ語(聞く側がポジティブになれる肯定的な言葉、ポジティブな言葉掛け)
相手とイメージの共有をする言葉選びをし、可能な限り肯定的な表現をすることが大事である。
捉え方の変換→事実の捉え方を変えて別の表現に言い換える
難しい⇒やりがいがある
して欲しい変換→して欲しいことをそのまま伝える。
大事なのはイメージできること
ミスをするな⇒思い切りやれ!
映画のペップトーク事例紹介:HP:ameblo.jp/pep-talk
③表現力伝承力(それをうまく表現するためにもはっきり丁寧に 助詞を抜かない)
④ラポール信頼関係(言葉選びが正しくても信頼関係がなければパワハラになる)
上司が「綺麗だね」といったときに、信頼関係があればほめ言葉
信頼関係がなければパワハラ
ペップトークの構造と首尾一貫感覚
まず事実を受け入れ→捉え方を変換し→して欲しい変換をし→背中の一押しをする
分かる気 → できる気 → やる気 → その気
(状況把握感) (処理可能感) (有意義感) (内発的動機付け)
アーロンアントノフスキー著『健康の謎を解く』
ダニエル・ピンク著『モチベーション3.0』
所々ちゃんとした本からの参照を入れているのでとても説得力があります。
アリストテレスの説得論「優れたスピーチの3要素」から以下のものを紹介しました。
①エトス:共感、賛同、同意を得られる
仁徳、人間性、品格、気質、倫理感、信頼性
②パトス:感情に訴える、心に響く
情熱、熱意、感動、心情的共感
③ロゴス:理由や原因を説明する
言葉やロジックによる説明、解説、真実
上田昭夫著講談社『王者の復活』には以下の言葉が記されているそうです。
→「今の若者を動かすのに必要なのは命令ではなく、説明だ。」
なんと、当たり前のようで、難しいところですよね。
傾聴共感型
情報共有型
危機管理型
双方向型
括目相対型
↑このようなメモは取ってあるのですが、何を話していたのか、記憶か飛んでいます。
『サーバーンドリーダーシップ論』によると、
今までの
20世紀型: 我慢・努力・忍耐・根性 であると言われてきました。
しかし、これからの
21世紀型:ワクワク・ドキドキ・夢中
がキーワードになるんだそうです。
プライミング効果として、岩崎先生のお話の中では、人間の脳の中には「言葉」「表情」「呼吸」「姿勢」「思考」「感情」「生命」「動作」に取り囲まれているそうです。
イメージは実現化します。なので、「できる」「できるかもしれない」ことを伝えなければならない。そのような言葉をかけてあげることが大事だそうです。
つまり、「してほしくないこと」を言うのではなく、「してほしい」ことを言う。
例:「廊下を走るな」 →変換 「廊下は静かに歩きましょう」
「宿題を忘れないで」 →変換 「宿題をちゃんとやろう」
「ケンカしないで」 →変換 「仲良くしよう」
「ミスするな」 →変換 「成功しよう」
「嘘をつくな」 →変換 「正直にはなそう」
「サボるな」 →変換 「しっかりやろう」
「ぼけっとするな」 →変換 「集中しよう」
などのように言葉をかけてあげます。
目的語を先に言う日本語の特徴によって、「ミスをするな」と言われても最初に言われた「ミス」という言葉の印象が強く、「ミス」をイメージしてしまうんだそうです。
イメージの中には否定語はなく、主語や述語はあいまいになってしまいます。
相手にはポジティブな言葉で「して欲しい」ことを伝え、成功をイメージしてもらうことを目指さなければならないということになります。
人間は、コンフォートゾーン→ラーニングゾーン(有効限界)→チャレンジゾーン(挑戦・克己)→パニックゾーン(になる前が、安全限界)があるんだそうです。
そのために、チャレンジさせることが最も自己成長しやすいんだそうです。
どうしてわからないの?→どこまでわかったの?→ここここは分かったね。じゃ〇○すればいい などのように、アドバイスをするべきであると言います。
次に、質問の3つのパターンについての説明がありました。
クローズ質問(過去→確認・反省・詰問 否定→弱み・欠点・否認)を
オープン質問(未来→意見・考え・念い 肯定→強み・長所・承認)に変えていく
例:ビジョンは?そのためには?
できているところは必ず認めてあげること、
できていないところは改善点を言ってあげることがとても大事だそうです。
改善点については、3つのステップがあります。
①自分で考える ②誰かと考える ③プロに学ぶ
①素質才能を認めてあげて、
②努力したプロセスをほめてあげて、
③成功成就したことは一緒に喜んであげる。
これがとても大事だそうです。
→『煮込ます論理学』アリストラレス著
頑張って成し遂げた時に感じる幸せは細胞レベルまで影響を与えるそうです。
評価を行う際には、水平比較ではなく、垂直比較を行うべきであると言います。
つまり、他人と比べるものではなく、自分自身の中での成長や成功を比較することが大事だということになります。
これは、アメリカの教育学者ローゼンソール氏が提唱したものですが、人間は「期待」に反応します。選手の成功を信じて指導するとその期待に反応します。魂のこもったペップトークは潜在意識に直接作用する可能性があるということです。
ここまで述べてきて、岩崎先生からとても大事な一言を聞きました。
ペップトークはドリームサポーターのみができるのだそうです。
ドリームサポーターとは、誰かの夢の実現や目標の達成を応援する人です。
子供にとって親や兄弟、生徒の先生、選手の指導者、社員にとっての上司はドリームサポーターです。
小さな子供たちの心には、悪い言葉もいい言葉も、まさに砂に吸い込まれる水のようにしみこみます。その水が、子供の心の幹を育てます。(金森浦子)
→子供にはたくさんいい言葉やポジティブな言葉をかけてあげる必要があります。
逆にネガティブな言葉は聞かせないようにすることが大事だそうです。
セルフペップトーク
自分に対して語り掛ける肯定的な宣言の言葉のことだそうです。
自分以対して意識的意良い言葉を選んで言い続けることで、意識や心の在り方を変えることができます。
自分の望む方向=夢に向かって進んでいく方法として、セルフペップトークがあるそうです。
『言葉の相』という本の著者は「人生は今まで吐いた言葉でできている。そしてこれから吐いていく言葉によってできていく(原文参照)」のようなことを書いているそうです。
昔、同級生の中には、「私は世界一美人だ」と常に思っている人がいて、私にも「私が世界一美人だと毎日100回言いなさい。」と言われたことがあります。
最初は本当に変な人だな。この人どれだけ自分が好きなの?と思っていました。しかし今考えるとまさに彼女は自然にこのペップトークを身につけていたのですね。恐ろしいです。
自己イメージは、環境(周囲の反応、他との比較)、教育(成績や成果、指導者)、経験(成功と失敗、優劣と劣等)から自分はこんな人間だという思い込みから自己イメージを作ることができるそうです。
そして、思い込みの自己イメージが徐々に真実になり、それが行動、感情、態度、技能などの人格そのものに反映されてくるんだそうです。
私のノートに書いているメモを整理してみました。
いままでいろいろな研究会や勉強会、学会などに参加してきましたが、感銘を受けて感動したものであっても、そのうち忘れてしまいます。
あの時に感動した授業のやり方方法などを一度も実践せずに忘れていくのは大変もったいないことだと思いました。
これからはできればいろんな学びの場で学んできたことを少しずつ整理し、自分の授業や自分の人生に行かせられるようにしたいと思いました。
三日坊主なのですぐ諦めてしまう癖がありますが、岩崎先生のおっしゃるセルフペップトークで「できる!できる!私はできる!」「続ける!続ける!私は続ける!」を唱えながら継続目指していきます。