happy365day’s diary

勉強用のメモ、読書メモなど、仕事や勉強に関する記録を残すためのものです。

2018年の締めくくりとして読んだ『教えることの復権』読書メモ その①

同級生がかなり熱心に「大村はま」先生の本を読んでいて、勧められましたので、まずは図書館でどんな本なのかいくつか借りました。

 

この本は、大村はま先生とその教え子である苅谷夏子氏との対談集の形になっている本ですが、こちらのほうがサイズ的にも分量的にも読みやすかったのでこちらを先に読むことにしました。

 

結果、もしかして、大村はま先生の本を読んでから、こちらを読むべきだったのかなと思ったりしています。

 

教師側から教え方や工夫などの本はたくさんありますが、教わった側・学生の立場から、先生の教えを経験し、どんな感じで勉強をしてきたのか、についていろいろ話されています。

 

books.rakuten.co.jp

 

 

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目次

序章 「大村はま国語教室」への扉
第1章 言葉・文化を学ぶことの価値観
第2章 大村はま国語教室の実践

    (生徒の目から見た単元学習の実際単元学習の本質とは)
第3章 教えるということ
第4章 中学校の教室から大学の教室へ
第5章 教えることの復権をめざして

    (徹底したリアリズム教えない教師たち ほか)

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以下は、私が読んでよかったところをいくつかメモ的に記します。

 

P43

つねに二つを比べるカードの振り分け作業

教科書全体からある言葉を探し、用例カードを作り、一枚に用例を一つ書いていき、一枚目のカードを読んで、次に二枚目のカードを読むと、使われ方や意味がまったく同じか少し違うのか、判断できるはずなので、これを繰り返してやっていきます。

 

用例はだいたい80枚ほどのカードになりますが、最初から何種類かに分けようと思わず、常に目の前にある二つのカードを比べていくという作業を行います。

 

分類が終わると今度は種類ごとに山になっている共通している意味を言葉で説明していきます。先に分類する作業を行ったことで、学生たちの頭の中にはすでにある程度の意味分類が行われています。さらに分類が難しいものや、どっちにも属さないものなどいろいろ出てきますが、そういうのも含めて記録になり、やがて自分が作った辞書の一項目を書き上げることになります。

 

最後に、先生や友達と話し合うことで、自分が悩んでいたことがほかの人はこのように考えていて、このように分類しているなど苅谷先生は当時感心することもあったそうです。

 

☞感じたこと:

この章を読んだとき、日本語の授業にも使えるのではないかといろいろ考えました。語彙のほうは分析できるレベルではないので、文法の授業で使うことを考えました。

 

ある文法項目に関する、意味・接続・前後呼応・注意点などを網羅するような例文を用意し、学生たちにグループに分かれて、これらの例文をみながら、分けてみましょうと呼びかけました。

 

最初はきょとんとしていましたが、随時指示を出していきます。「接続の方はどうでしょうか」「1番と2番は何が違うんでしょうか」などなど、ヒントを出しながら大きく接続の違いで分類を行いました。それから辞書を調べてもいいし、隣の人と相談してもいいので、学習する文型がどういう意味なのかを調べてもらいました。

 

ある程度、接続や、注意点、呼応文・語などを確認した後、私の方からもう一度用意したパワーポイントを見せながら説明を加えていき、確認作業が終わったら練習問題をやってもらいました。

 

反省点:

授業の前に頭の中でイメージした授業とは違いました。例文についてしっかり話し合い、分類を行っていくイメージを描いたのですが、私のクラスの学生はベトナムとネパール国籍が多いため、漢字が読めない、意味が分からないなど、まず例文を正しく読むことが難しい感じでした。

 

分類を行う前に例文をみんなでチェックする、例文にある語彙の意味を確認するなどしてから分類作業に移るべきでした。

まだ二回目は実施していませんが、次回もう一度この方法を改良して実践してみたいと思いました。

 

 

P66

大村国語教室では30数年間同じ単元を繰り返さなかったそうです。ひとつの単元のために用意した教材などは他のクラスや学生にも使えるはずなのですが、大村先生は繰り返すことをなさっていない理由として、「教室へ出る自分の姿をよい状態で保つ、主にそのための工夫」だったそうで、「新しいものをもって教室に出るというときは、新鮮で誰よりも自分が嬉しい」と言います。

 

新しい単元をもって出るときには、まったく得意ではないので、心配、大丈夫かな、うまくいくかしら、と心配しているそうです。そして、その心配している気持ちがとても子供に合うんだそうです。新鮮で謙虚ということを間違いなくやろうと思ったら、新しい教科書に限るんです。苦労することなく、自然に、よい状態を保つことができる。手慣れてくると危ない。

 

☞感じたこと:

私は、もう三年も同じ教科書を教えています。さらに同じ授業項目を四クラスやる時もあります。

 

一回目より二回目、二回目より三回目、、、のように毎回自分の授業を振り返り、ここはこうしたほうがよかった、そこはそうやったほうがよかったと反省し、次の授業へ生かせていました。

 

なので、同じ教科書を何度も教えることは自分の成長をみることができて、とてもいいことだと思っていました。しかし、大村先生のおっしゃるとおり、四回目になると、慣れてきてしまったこと、さらに前の授業の反省点を重んじるばかりに、教えなければならないことを言い忘れたりすることもありました。(これは私自身の問題なのでほかの先生はしっかり教えていると思いますが、、、あくまでも私の場合は・・・失敗がありました。)

 

いつも新鮮な気持ち、いつも全力で教えなければならない、クラスによって不公平が起きるのはよくないことかもしれないと反省しました。とはいえ、同じ教科書をいろんなアプローチで教えたり、いろんな角度から見直したり、状業をやり直すことで得ることもたくさんありますし、いつも新鮮な気持ちで全力で教えることも大事ですので、両方をバランスよく取り入れて授業を行っていきたいと思いました。

 

P75

話し合いそのものを教える時間

今の時代に、国語の先生で、話し合いをやらせない先生なんていません。なんでも話し合ってごらんということになっているでしょう。

 

でも、いけないのは、話し合いを教えていないということであり、話し合いをさせる教師ほとんど全員が、話し合いを教える教師はほとんどない、という状態だと言います。

 

☞感じたこと:

この対談では、話し合いを教えるときのやり方についても書かれています。

会話や話し合いの授業以外にも、「なんでもいいから、〇〇してみてください」という言葉を多用していることに気づきました。

 

作文を書くとき、ペアワークで話し合うとき、文法の練習問題をやる時、語彙を勉強する時、漢字を勉強するとき、学生たちに「漢字が難しいから読めない」「作文を書くのは面倒だからやりたくない」と言われることがあります。

 

そのたびに、「なんでもいいから考えたことを書いてみよう。」「一個でもいいから漢字を書いてみよう」といいます。しかし、それは自分はちゃんとその項目について教えたという変な自信があるからこそ言えたのだと思いました。

 

「私はこの項目を教えた。だから学生たちはきっとできるはずだ」という甘い考えがあったのかもしれません。自分自身はきちんと教えたつもりでも、学生たちには伝わっていない時もあることを銘記しなければと思いました。(もちろんバイトばかりして授業中は疲れてやる気がない、眠いなどの学生もいますが。。。)

 

ちゃんと教わっていないからできていないということも頭に入れて、どこが難しい?何が面倒?どうしてできない?と常に考えながら教えていかなければならないと思いました.

 

余談:

ちなみに、何ページで読んだのか覚えていないのですが、同じ内容を二回教えないのは、比べてはいけないからだそうです。

 

最初のクラスはできたのに、このクラスはできない、誰々さんはできたのに、この学生はできない、、、など人間は常に無意識に比べてしまうそうで、そういう気持ちで学生たちを見るのは可哀そうなので、同じ内容の授業はしないんだそうです。

 

私も同僚たちと話すときによく口にします。「Aクラスではすらすらできたけど、Bクラスではみんな結構大変だった。」「Aクラスでは10分でできたのに、Bクラスでは20分もかかった。」などなど・・・

 

今後は言いっぱなしにならないで、ちゃんと「Bクラスはなぜたいへんだったのか」、「誰がたいへんだったのか」、「なぜ時間がかかったのか」、「どれが分からなくて時間がかかったのか」など原因を探り、解決策を考えながら授業をしていかなければと思いました。

 

そして当日話題提供してくださった先生の一人が、ふきこぼれの学生について触れました。私もその先生の話に深く共感しました。いつもできてしまう学生よりも落ちこぼれの学生に関心が行ってしまいがちです。できる学生へのケアは果たしてどれぐらいできているのか、私自身も反省しました。

教育現場にいらっしゃる先生方は落ちこぼれの学生と吹きこぼれの学生たちにどのように対応しているのでしょうか?

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後半もレビューしたいと思いますので、その②に続きます。