happy365day’s diary

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読書メモ『やる気を育む心理学』伊藤崇達

『やる気を育む心理学』伊藤崇達

 

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印象の残る言葉:

 

P73:

イラショナルビリーフと言う概念:教師は一般的に子供への指導に対して管理主義的なイラショナル性のビリーフを持つ傾向にあるが、その強さは教師間で異なっている。

 

河村、田上(1997)は教師特有のイラショナル性のビリーフの程度が低い教師が担任する学級ほど子供たちの学習意欲や級友との関係などのスクールモラルが高かったのである。すなわち学校での活動に対して子供のやる気を育むには教師は過度に管理主義的にならない方が良いと考えられる

 

教師は高い期待を持った子供に対して生徒への賞賛を多く与えたり、ことに対する叱責が少なかったりするなど学習への動機付けが高まる事に結びつく指導行動をとっていることを明らかにした。つまり教師から高い期待を受けた子供は各種へのやる気が高まるように支援を受け、結果としてやる気が実際に高められ学業への達成度も高くなるものと考えることができる。

 

P81:

「極めて多くの教師は子どもの学習意欲を高めるために道具的サポートに配慮している。しかしその一方で子供たちは道具的サポートのみならず、楽しい雰囲気作りをしてくれるなどの情緒的サポートや、よく教えてくれるなどの情報的サポートも求めているのである。」

 

 

P84~85:

1:自律性を支援する授業実践

子供に対して自律性を支援するように指導している教師の学級の方が統制的に指導する教師のクラスに比べて子供の内発的動機付及び有能感が高い傾向にあったことを示している。

 

2:選択の自由の時間を与える授業実践

学習課題については、いつでも子供たちの選択の自由に委ねる事は難しい。そこで教師が意図した指導内容を強制しているという印象を子供たちができるだけ受けないように働きかける工夫が求められる。(どれでも選べるんだけど、お絵かきゲームをしてみない?とあたかも課題選択の自由があるかのように表示してお絵かきゲームを実施させた。)

 

課題の選択の自由があるかのように見せる仕掛けを選択の錯覚と呼ぶ。教師においては子供が強制的に目の前の学習課題をさせられていると言う印象を持たないようにちょっとした言葉をかけにでも配慮する姿勢が重要であることがわかる。

 

P86~87

知的好奇心を高める授業実践:授業の中で子供に認知的葛藤を起こす方法はいくつかある。1つの方法として教師による揺さぶりや発問を行う方法が挙げられる。(でも・・・といった考え方もあるのでは)といったような対立する見方を提示する発問である。

 

P90~P92

診断的評価、形成的評価、総合的評価の三種類がある。さらに評価の活動は誰が評価をするかといった観点から自己評価と他者評価に分けることができる。これまでの研究からは教師が評価者となる他者評価は子供による自己評価に比べて子供たちの内発的動機づけを低下させやすいことが知られている。(鹿下1990)

 

しかし、自己評価は子供たちが主体的な立場で評価活動を行う営みである。自らの学習活動を行っているのだと言う自己決定感を持ちやすい。よって内発的なやる気を高める作用を持つと考えられるのである。

 

到達度評価や個人内評価では、普遍の到達基準ないしは過去の自らの成績と現在の成績との比較によって学力が規定される。そのため自らの学習活動の積み重ねに対応した習熟度に関心が向けられ、自らの内発的なやる気の高まりにつながると考えられる。

 

P97~P98

自律的な動機付けを育てるためにはどうしたら良いだろうか。その時に大切なのが他者との関係性である。ライアンとパウエル村によれば、人は基本的に他者と親密な関係を築き、心理的なつながりを持ちたいと言う関係性への欲求を持っており、その欲求が満たされることで自律的に行動することができるとしている。つまり自分にとって重要な他者と親密で安心できる関係を築くことで、それを支えとしながら積極的に行動することができるのである。

 

自分にとって重要な他者から支えられていると感じることで子供は難しく感じられる課題にも積極的に挑戦していくことができる。また信頼できる大人が言うことであればそれを素直に受け入れることができるだろう。親や教師などの重要な他者との関係性は心理的なサポートとなり、また勉強が大切であると言う価値を伝えることで子供の自立的な動機付けを支えているのである。

 

P101

友人関係には様々な機能や役割があるが、中でも重要なのは困ったときに自分を支えてくれると言うサポート源としての機能である。中学生以降では同性の友人が重要なサポート源となっていることがわかる。

 

どのよな人と関わるか?

1 友人と話し合う

2 友人と比べる

3 友人を観察する

4 友人に助けを求める

 

P108~P109

教室で学ぶ動機付け:学習の評価は以前と比べて進歩したかどうかが重視されてされる。いわゆる個人内評価である。一方遂行目標構造では優れた成績を収めることや競いあって勝つことが目標として強調される。そのため子供に対する評価は学校や教室内の順位、級友の比較といった相対評価の観点からなされる。

 

P116

がんばって勉強しろと言う代わりに、子供とのあいだで適切な関係を築いているかどうかについて考えてみることもときには有効かもしれない。

 

P118

子供自らが教師や友人との関係を大切に思い積極的に関わろうとすることで心理的な支えとなる豊かな人間関係が気づかれるだろう。そのような人との関わりの中で学習への動機付けが育まれていくのである。